MESSAGE

物語のある巨大迷路

SCRAP代表からのメッセージ

35年ほどまえ。電車に乗って40分くらいのところに巨大迷路があった。
家族でも行ったし、友達とも行った。
4つのスタンプをゲットしてゴールまでたどり着くタイムを競う単純なもの。
小学生の僕は巨大迷路に夢中だった。

分け入っても分け入ってもまだ壁が続きいつまでも目的地にはたどり着けない。
新しい道を見つけたと思ったのに、またスタート地点に戻ってしまう。なんども同じ交差点を通る。
今どこにいるのかわからなくなる。自分の足音と息遣いが聞こえる。
そして、数々の苦難を乗り越え、やっと僕はゴールにたどり着く。その時の気持ちは言葉にならない。
達成感と、抜け出せた安心感と、幾分かの心地よい疲れと。

でも、中学に入ってからは一度もそこに行ってない。
いつの間にかそこはつぶれていた。
僕は巨大迷路に飽きてしまった。
毎回毎回ただ壁に隔たれた道を抜け出し、ゴールを目指すことはもはや快感ではなくなっていた。

今の仕事をするようになってからも、巨大迷路のことはよく考えた。
思えば僕が人生で最初に体験した「体験型ゲーム」だったかもしれない。

今回のお話をセカオワとアカツキさんからいただいたときに、まず最初に思いついたのは巨大迷路だった。
ずいぶん広い場所を使わせてもらうし、そこをなんらかの方法で埋めなくてはならないと思っていたから、そこで巨大迷路を思いつくのは自然な流れだった。
でも、ずっと気になっていたのは「なぜ小学生の僕は迷路に飽きてしまったのか?」だった。
小学生から中学生になる過程で僕の興味が移ってしまったのかもしれない。でも、小学生の時に衝撃を受けたドラクエは今でも好きだ。
なぜドラクエは今でも好きで、巨大迷路は僕は好きじゃなくなってしまったんだろう。

と、そこまで考えて、雷が落ちたようにひらめいた。
ドラクエにあって、巨大迷路にないもの。
それは「物語」だ。

例えばこんな物語はどうだろう?
あなたは迷路のように入り組んだ不思議な街に閉じ込められてしまった。この街ではさまざまな人々が生活し、さまざまな謎が仕掛けられている。街に隠された情報や暗号を解き明かし、あなたはこの迷路の街を脱出できるだろうか?

もし今回のプロジェクトがSCRAPだけのプロジェクトだったら、僕はここまで思いついてこのアイデアを捨ててしまっただろう。どうやって物語を届けるか?巨大な迷路で一度に何人もプレイするのに全員がそれぞれ違う物語の進捗があり、それを管理することなんてできない、と。
しかし、今回はアカツキさんという心強い味方がいた。デジタルデバイスにとても強く、しかも空間エンターテインメントにも深い造詣のある会社さんだ。

そうだ、全てのチームにデジタル端末を渡した上で迷路に挑戦してもらおう!物語は端末と空間で進んでいく。途中には奇妙な住民が生活しているだろう。壁には奇妙な文様が刻まれているだろう。プレイヤーはその街に隠された物語も同時に楽しむことができる。

「巨大迷路×物語×謎」をデジタルで実現する。

このアイデアに僕は取りつかれてしまって、社員やアカツキさんやセカオワやその他僕の周りにいるありとあらゆる人たちに話しまくった。アイデアはどんどん固まっていって、もうすぐみなさんのもとに届けられそうです。

あなたは道に迷う。
この場所はさっきも通った場所だ。
目的地はどんどん遠ざかっているように思える。
聴こえるのは自分の息遣いと足音。遠くの方では奇妙なPOPソングが鳴っている。
もうだめだ、あきらめかけたそのとき、突然あなたは観たことのない場所に出る。
その場所では奇妙な老人が君の到着を待っている。
「ようきたな。この街を抜け出すヒントが欲しいんだって?」
あなたは老人と話す。どうやらここから抜け出すためには4つの謎を解き明かさなくてはならないようだ。
あなたの手元の端末には外部の協力者からの情報もやってくる。どうやら巨大な組織がこの街の裏で蠢いているようだ。
さまざまな情報を頼りに、あなたはこの巨大な迷路を攻略する。
その先に、衝撃の物語が待っているとも知らずに。

そんなゲームを作りました。
きっと世界一おもしろい巨大迷路です。
ぜひ遊びに来てください。

SCRAP 加藤隆生