さあ企画を始めよう！ となると、僕らはずいぶん身構えてしまって、何から始めていいのかわからなくなる。そして、なんとなく始めなくちゃなあと思いながらもなにも始まらずに、また日常がスキマを埋めていく。そして、変わらない毎日が続いていきます。

でも、企画とはまったく新しいものを生み出す魔法のことではなく、日常に対して少しだけ特別なルールを設けてみることだと思っています。
たとえば、「横断歩道の白いところだけを歩く」というルールを子供の頃に自分に課したことのある人や、電車から見える柱を数えたり、その上に人を走らせたりしたことのある人や、雲を見上げながら何かに似ているなあとぼんやり思ったことのある人や、妙にジンクスや縁起を気にする人や、通勤や通学のときにちょっとした取り決めを自分でしている人は、企画の才能があるといえます。

それはすべて、今ある世界を自分なりのルールで「遊んでやろう」としている人のすることです。世界のルールは法律や科学で規定されているだけのものではなく、その中で生きる僕らの行動によって規定されていくのです。僕らが世界で遊べば遊ぶほど、世界のルールは豊かになっていきます。

あとはそれを、「企画」として他者と共有するかどうかだけの違いです。

さあ企画を始めましょう！
日常にあるささやかな企画が積みあがって、ムーブメントに至るとんでもない企画が出来上がります。
このイベントは、僕が毎日どんな風に企画しながら生きていて、それがどんな風に仕事につながっていくかを語るものです。

1974年9月14日生まれ。同志社大学心理学部卒。バンド「ロボピッチャー」のギターボーカル。2004年にフリーペーパー「SCRAP」創刊。誌面と連動したイベント企画のひとつとして開催した「リアル脱出ゲーム」が好評を博し拡大化する。マンションの1室から夜の遊園地、東京ドームなど、毎回空間と趣向を変えて展開される「リアル脱出ゲーム」は全世界で注目を集め、現在では200万人以上が熱狂する大人気イベントとなっている。