竜の夜からの脱出開催記念! SEKAI NO OWARI × SCRAP加藤 スペシャル対談

偶然と必然が重なった出会い

元々親交があるSEKAI NO OWARIと加藤さんですが、こういう形で対談するのは初めてですか?

加藤
そうですね。

Fukase
真面目な加藤さんと話しをするのが、初めてかもしれない(笑)。

Saori
飲んでない加藤さんが初めてかも(笑)。

出会いのきっかけは、『Death Disco』がリアル脱出ゲームの映画主題歌になったことからだと思うんですけど、加藤さんはそれ以前からSEKAI NO OWARIのことはご存知でしたか?

加藤
実は当時は全然知らなくて。とある飲み会でたまたま隣に座った人が関係者の人で。「SEKAI NO OWARIというバンドを担当しているんです」という話になったので「あ、僕、映画を今作ってるんですよ。主題歌やってくれないですかね?」という流れになったんですね。ただその軸とは別に、うちのSCRAPのスタッフとSEKAI NO OWARIのマネージャーさんが話をしていて。

Fukase
そう。俺が野外ライブで謎解きを出したいから、それを作ってもらえないかっていうお願いをしていたんだと思いますね。最終的に謎解きそのものを作ってもらうより、LOVEが作り方を伝授してもらうことになったんですけど。

Saori
その辺りはごちゃごちゃしていて、偶然と必然が重なったようなところもあって。ただ、割りとSEKAI NO OWARIのほうからアプローチはしていましたね。(加藤さんは)最初はあまり興味がなかったみたいですけど。

加藤
(笑)いやいやいやいや! どうだったかな?

全員
はははは!

『Death Disco』の衝撃

加藤
とにかく一番憶えているのは、トイズファクトリーさんのオフィスへ行って、僕らが作っていた映画のプロデューサーさんと一緒に「映画の主題歌をお願いします」みたいなことを言いに行ったときに、Saoriさんがまっすぐ僕の目を見て「SEKAI NO OWARIのどういうところが好きで、どういう曲を作って欲しいんですか?」って言ったんですよ。でも僕、その段階で1曲も聴いたことがなくて。ただその場はピリッとした空気だから僕も「いや、まだちゃんと聴いてないんですよ」っていうことも言えずに「らしい曲でいいんじゃないですかね」みたいな返しをしたんです。そうしたら、多分ですけどFukaseさんが察してくれて「まあ、それはこっちで考えたらいいんじゃないの」って言ってくれたんですね。

Fukase
そうそう、それは察しましたね。「ひとまず持ち帰ろうよ」みたいな(笑)。

その後『Death Disco』があがってくるわけですけど、率直に感想はいかがでしたか?

加藤
凄い曲が来たなと思って。もっとポップなバンドかなと思っていたんですけど、名前に「Death」とか付いているし。しかもエンディングに流れる曲なのに、あまりエンド感がないし、サビも「クエスチョン」って言ってるだけっていう。

Fukase
ははは!

加藤
えらいのがあがってきたなと思ったんですけど、画に当ててみるとパチっとハマったんですよね。で、その後、少し時間が経ってライブで観たときに、凄まじくいい曲だと思いましたね。その時からですね、声高に「あれ、俺の映画とコラボした曲だぞ」と言い始めたのは(笑)。

ただ『Death Disco』も当時のSEKAI NO OWARIの楽曲の中では、かなり尖った部類の曲ですよね。

Fukase
「らしくていい」って言ってもらえたんで。ただ一度はNakajinが映画に寄せた、ミステリアスなデモを作ったんですね。でもせっかく自由にやれるんだからっていうことで、あれは当然俺がパソコンでデモを作ったんじゃないかな。

Nakajin
あ、そうそう。あの時、パソコンで作ってた。

Fukase
珍しいよね、俺がパソコンで曲を作るの。

Saori
珍しいっていうか、あの曲だけだよ(笑)。

でも当時から『Death Disco』はお気に入りの曲でしたよね。

Fukase
うん、お気に入りでしたね。

Saori
やっぱり代わりがいない曲だから、ファンもこの曲のイントロが流れると「うわー!」って盛り上がりますよね。凄く人気がある曲ですよね。

リアル脱出ゲームは今までの人生で一番面白かった

では逆にSEKAI NO OWARIの皆さんは、リアル脱出ゲームをいつ頃から知っていたんですか?

Saori
かなり昔の話なんですけど、私が高校生のときから読んでる「ろじっくぱらだいす」っていうサイトがあるんですけど、そこの管理人のワタナベさんっていう人が、リアル脱出ゲームに行ったっていうのをブログに書いていたんですね。それを読んだときに「なんて面白いことをしている人達がいるんだ!」と思ったのが最初ですね。

加藤
ろじっくパラダイス!!僕も大好きなサイトでした!そこから繋がってるんだ!確かそのブログが書かれたのは2009年ぐらいですね。

DJ LOVE
そのブログ見せてもらったのを憶えてますよ。『EARTH』を出して最初のツアーが始まるぐらいだったと思う。

Fukase
そこから何回か行こうと挑戦するんだよね。チケットを取ってもらったこともあったんだけど、ことごとくスケジュールが合わなくて。最終的に行けたのは「Death Disco」が決まった後?

Saori
そう。会社がようやく仕事として入れてくれたんですね。

加藤
確か『魔法の部屋からの脱出』でしたかね?

Nakajin
そうです。渋谷のアジトに行ったんですけど、あれがもうめちゃくちゃ面白くて、衝撃的な体験で。こんなエンタメがあるのかっていう感じ。

Saori
Fukaseは終わった後に「今までの人生で一番面白かった」って言ってたもんね?

Fukase
言ってた言ってた。

Saori
本当に面白くて。何をするかよくわからないまま部屋に閉じ込められるんですけど、いきなり「スタート!」って言われて。わけがわからないまま、部屋にあるものを使って脱出しようとするんですけど、こういうテレビの企画でやっているようなことを一般の人たちもできるのが凄いと思って。

加藤さんからしたら、してやったりですよね?

加藤
いや、でも当時はSEKAI NO OWARIが『魔法の部屋からの脱出』に行ったっていうことを知らなくて。その1年半後とかに某所で行われたたこ焼きパーティーでたまたま皆さんに会って直接「めちゃくちゃ面白かったです」って言われたんですね。それはもうめちゃくちゃうれしかったです。で、その時に誘っていただいたので、その1週間後に日産スタジアムでのライブに初めて行かせてもらったんですよ。

ちなみに加藤さんが謎やトラップを思いつくインスピレーションってどういうものになるんですか?

加藤
リアルで作るものだから、リアルにあるものは全部インスピレーションのきっかけになると思っていて。(指をさしながら)あの電気ひとつとっても、いくらでも謎を仕込めると思って見ちゃうし。こんな穴とかあったらどうなるんだろうかとか。でも僕は、たとえば街を歩いていて雷に打たれたように何かを思いつくっていうことがなくて。日頃からネタを貯めて、貯めて、必ず会議の場で思いつくんですよ。この日は必ず何かを思いつかなくてはいけない日っていうのが決まっていて、その会議に適切な人が呼ばれていて、話している最中に思いつく。

Saori
へえ。

Nakajin
加藤さんって理系ですか?

加藤
いや、大学は文系なんですけど、心理学をやっていました。統計学も少しやっていたんですけど。すいません、アカデミックぶって(笑)。

リアル脱出ゲームを「今までの人生で一番面白かった」とまで感じたFukaseさんは、どういうポイントに惹かれたんでしょうか?

Fukase
俺、クイズが元々好きなんですけど、クイズの一番の楽しさってモヤッとしないことなんですよ。SCRAPの謎解きも一緒で、解けても解けなくてもモヤッとしないところがいいんですよね。

DJ LOVE
そこは信頼のSCRAPだよね(笑)。

Fukase
明確ですよね。謎解きって若干怪しいところがあって、屁理屈っぽいところもある。でもいろんな可能性を考え尽くして、最終的にはひとつの答えしか出ないっていうのがわかっているからこそ、没頭できるんですよね。

加藤
そうですね。それは大切にしている部分です。そういったベーシックな部分が根底にありつつ、そこから世界観を楽しんでもらい、物語を体感してもらうっていうのが、一番重きをおいているところですね。

リアル脱出ゲームは、掴めない

先ほどDJ LOVEさんが自分で謎を作ったとおっしゃっていましたが、やはり大変でしたか?

DJ LOVE
あれは2013年の「炎と森のカーニバル」のときだったと思いますけど、いやあ、本当に難しいんですよ。誰もが知っている知識を使わないとダメだし。とにかく難しくするのが難しいんですよね。いい塩梅の難易度にするのが本当に大変なんですよね。ちょっと考えればひらめく謎っていうのをどうすれば作れるんだろうっていうところから始まって、まずSCRAPさんに教えてもらったのが、謎を思いつきやすいフォーマットのようなもので。そこに作ったものをはめていくんですけど、まあ楽しかったんですよ。で、実際に自分が作った謎を解けなかったって言われるのも気持ちいいし、解けたって言われるのも気持ちいいし。だから加藤さんはずーっと気持ちいいことをしているんだろうなって(笑)。

加藤
うーん、でも10年も経つとね、音楽でも何でもそうだと思うんですけど、1個気持ちいいものを作ると次はもっといいものを作らないと気持ちいいものにはならないし。どこかで産みの苦しみみたいのは並行して出てくるんで、あんまり気持ちいい、気持ちいいって言われても(笑)。

DJ LOVE
まだ僕は2回ぐらいしか作ったことないから、気持ちいいで終わってるのかもしれない(笑)。

毎回謎をアップデートしていく仕事というのは、相当のプレッシャーもあるのでは?

加藤
それはありますが、よく例えるんですけど、クリアファイルって普通の家庭に10枚もあれば事足りると思うんですけど、そこにドラゴンボールが印刷されたり、SEKAI NO OWARIが印刷されたり、ONE PIECEが印刷されると、みんなそれを欲しいと思うじゃないですか? そういう意味では、リアル脱出ゲームとクリアファイルって似たようなところがあって。ひとつジャンルとして大まかな形があるものだから、その次に何をプリントするのかっていうのを考えればいい。だから5割のクリエイティブは過去に終わっているとも言えるんですね。だから毎回ゼロからクリエイトしていたら確かに疲れちゃうけど、うちって毎年35本ぐらい新作を出しているんですね。5~6人のクリエイターで作っているんですけど、それって普通じゃ考えられないじゃないですか?僕らはクリエイティブのフォーマットは50%終わっているという考えがあるので、ストレスが少なめに量産できているところはあるのかもしれないですね。

Saori
結構いろんなリアル脱出ゲームに行ったことがあるんですけど、脱出できなかった後に「SCRAPはこういう傾向があるんじゃないか?」って家で過去問とかをやるんですけど、次に行ってもそれがまったく通用しない謎が出てきて。ひとつの考え方にとらわれていると、逆に解けないんですね。毎回みんなで意気込んで行くんですけど、「そっちかあ……」と透かされる感じ?

Nakajin
そう、掴めないよね。単純な難易度の高さではなく、一度解けても、次に解けるとは限らないっていう。だから50%が既に出来ているっていうのが不思議です(笑)。

そしてついに『竜の夜からの脱出』の開催が決定!

そして今回SEKAI NO OWARIとSCRAPの大規模なコラボレーションが実現しますね。今年の9月から「竜の夜からの脱出」が始まるわけなんですけど、このプロジェクトはどういう形でスタートしたんですか?

加藤
まさにSEKAI NO OWARIの日産のライブを観たときに「僕はなんて素晴らしいものを見落としていたんだ」と思って。僕もずっと音楽をやっていたんで、言葉だったり、メロディだったり、アレンジだったりをお客さんに浴びせるように打ち出していくのが音楽、だと勝手に思っていたんですけど、日産のライブはそうじゃなくて。世界観、物語、人間性といったもの全部が――もちろん音楽が中心にあるんですけど――音楽以外のものすごく大きな塊みたいなものがステージ全体から溢れていて。しかもそれを叩きつけて終わるんじゃなくて、お客さんと一緒にその世界観が作られていると思って。それは僕がリアル脱出ゲームを通してやろうと思っていたことでもあるんですね。エンターテイメントのショーは、誰か才能輝く人がバン!と何かを叩きつけ、それをお客さんが浴びて帰るっていうものではなく、お客さんが一緒に参加して、一緒に作っていくものであるという思いが強かった。だから音楽のショーは僕の考えるエンターテイメントとは根本的に違うと思っていたんですけど、日産のライブを観て、SEKAINO OWARIはお客さんをしっかり一対一の関係性で捉え、全員に特別の体験をさせているんだと。さすがに褒め過ぎましたけど(笑)。

全員
はははは!

加藤
で、その日に帰ってすぐ、SEKAI NO OWARIとリアル脱出ゲームのコラボっていう企画書を作りました。そしてメンバーに、「会いたいんですけど」って連絡してっていう。実はこっちからコラボしたいってオファーするのってSEKAI NO OWARIが初めてなんですよ。

Saori
えっ!そうなんだ。

加藤
自分以外の人が作ったものに久しぶりに感動しまして。っていうと感じが悪いですけど(笑)、本当に凄いなと思って。そこから、いろんな人を巻き込みながら、こうして実現することになったというのが一連の流れですね。とにかく日産のライブっていうのが僕にとってのターニング・ポイントですね。

Saori
わたしたちの場合は、さっきも言いましたけど、単純にリアル脱出ゲームのファンですね。

Fukase
逆にコラボしちゃうと答えがわかってしまう可能性があるので、失われるもののほうが多い(笑)。

Saori
だから今回の「竜の夜からの脱出」も、なんとなくこういう雰囲気、というところまでは聞いているんですけど、それ以上深くは掘り下げてなくて。わたしたちもやるのを楽しみにしているから。

Fukase
でもコラボレーションしてるのに脱出できないのもダサいし、脱出できたって言っても「どうせ後ろで教えてもらったんだろ」って言われるだろうし(笑)。だから今のところ八方塞がりです。

DJ LOVE
どうせ接待プレイなんだろって言われちゃうからね(笑)。

加藤さん、今回の謎解きの醍醐味を言える範囲で教えてもらえないでしょうか?

加藤
僕はSEKAI NO OWARIが持っているメッセージには多角的な視点というものがあるなあと思っていて。答えはひとつではなく、2つも3つも、あるいは無数にあるんだっていうメッセージがあるような気がしているので、それを体験できないかなと思って。「なるほど、彼らはこれまでこんなことを歌っていたのか」というのを体感できるゲームにしたいと思って作りましたね。だからSEKAI NO OWARIがこれまで作ってきた世界観を僕らのゲームで体験してもらえたらうれしいなと思っています。

「らしく作ってください」から生まれた曲、『スターゲイザー』

そして今回は『スターゲイザー』がタイアップソングになっていますけど、オファーにあたってSEKAI NO OWARIにリクエストしたことはありますか?

加藤
一応こちらの世界観を書いたテキストは送って読んでいただいて、「どんな曲調がいいんですか?」って聞かれましたけど、もう信頼感が出来上がっているので、それこそ「らしく作ってください!」みたいな(笑)。

Saori
SCRAPに対してああいう曲をぶつけることって多いよね(笑)。

そうですね。『Death Disco』と同じく『スターゲイザー』もなかなか尖った曲ですよね。

Fukase
たまたまと言えばたまたまなんですけど、歌ものがしっくり来ない自分がいるのかもしれない。リアル脱出ゲームは、ミステリアスで淡々とした世界観だから、あまり有機的な曲調ではないなと思っていて。僕は無機質なものにこだわっているのかもしれないですね、『Death Disco』も『スターゲイザー』も。

あがってきた『スターゲイザー』を聞いて、加藤さんはどういう感想を持ちましたか?

加藤
最初は歌詞だけもらったんですけど、それがどう曲に落とし込まれるのかっていうのは、実は少し不安に思っていたところもあって。

Saori
確かに、あの歌詞だけ読んでもわけがわからないかも。

加藤
いろんな情景が切り貼りされている歌詞なんですけど、その情景をどこに持っていくのかっていうのが、言葉の中には書かれていないので。でも音があがってくると不思議とフォームの中にハマったので。「なるほど。だからスターゲイザーなんだ」っていうのは腑に落ちて、凄くビックリしたし。あとうちのスタッフみんなが言っていたんですけど、あの曲を聞いたときに頭の中でエンドロールが流れたっていう。だから大評判でしたね。今、うちの会社のそこら中のフロアで流れています。

では最後に、両者それぞれに対して、今後期待したいことってありますか?

加藤
まあ僕の場合は今からこのイベントのためにSEKAI NO OWARIに頑張ってもらうってことはないので。すでに素晴らしい曲は提供してもらったし、そもそも持っている世界観をお借りして、そのメッセージを体験に変換することができたわけで。引き続き素晴らしいものを作ってもらいたいなあ、というだけですね。

ではSEKAI NO OWARIはどうでしょう?

Saori
とにかくまた遊びに行きたいですね。最近休みがないんですよ。この間、1日だけ休みがあったときにみんなでリアル脱出ゲームに行って。休みの日に4人でどこかに行くとなるとリアル脱出ゲームみたいな。4人で遊べる時間っていうのがなかなか取れなくなっているから、本当に大切な時間であり、場所ですね。

わかりました。SEKAI NO OWARIとSCRAPのいろんな共通点がわかる面白い対談でした。ありがとうございました。

全員
ありがとうございました!

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