この話がいつのことなのか。
昨日なのか今日なのか。
それともうーーんと昔なのか未来なのか。

とにかくあなたは気が付いたら、不思議な工作室にいました。

見たこともないような道具や、
よくわからない材料ばかり並んでいます。
「さてみなさーーん！謎が解きたいですかーーー！！？？」
どこかで聞いたことのあるような声が響きます！

現れたのはびっくり一家の次男坊である、
工作室長クラフト・ツクランカさんです。
ツクランカさんは、工作の世界では知らぬものはいない、
とんでもない有名人です。
あの、大工作時代を作り上げた、工作世界の偉人です。
「みなさんにはまたもやエキサイティングで大興奮、
クリエイティブで創造的なミステリー謎解きに
チャレンジ挑戦していただきまーーす！」
バイリンガル感を強調しすぎな工作室長の言葉を聴きながら、
あなたは何もない部屋を呆然と眺めます。
その部屋には謎を解くためのパズルも、暗号も何もないのです。
あるのはただ、使い方のわからない道具と、奇妙な材料だけ。

「くっくっく！困った顔してますねーーー！
この部屋の謎は、あなたによって作られまーーす！
　作り続けないと最後の答えにはたどり着かないのでーーーす！
　作って作って作り続けちゃって
くださーーいませーーーー！！！！」

どうやらこの愉快な工作室の謎を解かないと、
あなたは外の世界に戻れないようです。
しかたがない。あなたはため息交じりに謎を解き始めます。

しかしあなたはその時まだ知らなかったのです。
その謎が隠していた恐るべきあのびっくりを・・・。

工場から工作室へのこの変化はとても素敵だと思いませんか？

「モノづくり」という言葉が内包するビジョンはいくつもありますが、町工場でどかどか作られるあれやこれやも「モノづくり」ですし、工作室で小学生などがカッターやハサミやノリやボンドを使って作るものも当然「モノづくり」の中に入ります。

もちろんかっこいいデザインオフィスでかっこいい服を着たひげ面のおにいさんがギラリと目を光らせて描き出す新進気鋭のWEBサイトも「モノづくり」でしょう。
それって多分全部かっこいいんだから、「モノづくり」という言葉の中で遊びを作ってみたいと思いました。

工場でも工作室でも多分面白い遊びは作れます。
その結果モノづくりの楽しさを一人でもたくさんの人たちに知ってほしい！など、まじで一ミリも思っていません。

なんなら俺以外の人間全員モノづくりの楽しさを知らなかったら世界一のクリエイターとして君臨できるのになあとかすら思いますが、それは書いてしまったら負けなので一旦心の中に隠して。
じゃあなんでこんなものを作ったかというと、モノづくりの中で時々生まれるとんでもないひらめきの瞬間こそもっとも美しい興奮だと思っているからです。

僕は仕事の中にふと突然訪れる興奮を心の底から愛しています。
その興奮が感じられるゲームをもし作れたら、みんなのゲームに対する考え方が変わるんじゃないかと思うのです。

仕事に対する考え方も、生活に対する考え方も変わる気がします。
日々の時間がその「興奮」に向かうためにデザインされていきます。
僕はそんな未来を心から望んでいます。
このゲームは、モノづくりの過程で生まれる、とてつもない興奮を体験できるもの！として作られました。

あなたはまもなく知るでしょう。
何かが生まれていく過程で、こんな興奮が生まれていたことを。
そしてあなたはこのゲームを終えた後こう思うはずです。
「ああ！ わたしもなにか作りたい！」と。
それこそが僕の願いであり、このゲームの持つ面白さの本質です。