アイドルがものすごく好きな人間なんてほんとにしょーもない人種だ!
なんてことは胸張って宣言するまでもなくおそらく日本中の統一見解でしょう。このブログでもやたらAKBAKB騒いでるわたくし、そりゃ当然モーニング娘。も好きでした。好き故にモーニング娘。のグループ名を表記する際末尾に正しく。を入れることによって人様にお読み頂くには非常に読みづらい文章になるだろうな、ということは重々理解しつつもどうしてもモーニング娘。と正しく表記せざるを得ないくらいには今でも愛情を込めてモーニング娘。に接しております。ね、キモいでしょ。
しかしながら日本のアイドル歌謡は70年代から連綿とつづく文化であり、こどものころ見てた「トップテン」の客席でも各アイドルの「親衛隊」が野太い声でコールしてました。エルオーブイイー、聖子ー!みたいなやつ。
こども心に大きくなったら親衛隊になって秀美ちゃん応援したいな、けどあんなデカい声出せるかな、なんて憧れたものですが、あの頃から世間一般の目は親衛隊キモっ!みたいな感じだったんでしょうか。
と思ってwikiってみたら、とんでもないですね親衛隊。超骨太。
応援だけじゃなくってキモヲタやカメラ小僧からアイドルを守るのが主な仕事なんですって。出て来る関連ワードも総長だとか連合だとか、ヲタというより完全に暴走族より。ですからおそらく当時の世間一般の方は親衛隊を見てキモっ!とは思っていなかったと思うんです。だってアイドル自体がオーバーグラウンドの文化だったから。すなわち親衛隊もごく一般的な人、いやむしろクラスでもパン買いに行かせる方の人、が胸張って誇り持ってやってたんだと思うんです。
個人的な歌謡史の観点から行くと、最後の大物アイドルは工藤静香です。
89年にザ・ベストテンが終了しますが、この番組の最後の1位は工藤静香の「黄砂に吹かれて」でした。なんかすごいタイトルだな、いま思うと。それ以降いわゆる歌って踊るアイドルは急加速的に衰退して行きます。90年以降は中山美穂、小泉今日子、酒井法子など元アイドルが自身の主演ドラマの主題歌を歌い大ヒットを飛ばす、または観月ありさ、内田有紀、広末涼子のように女優始まりのタレントが曲を出してヒットする、
というのが主流で、歌って踊るだけでヒットするアイドルはなかなかいませんでした。
おニャン子のセルフパクリみたいな乙女塾、小室さんプロデュース曲で小ヒットを飛ばした、篠原涼子率いる東京パフォーマンスドール、中谷美紀、菅野美穂を擁した桜っ子クラブ、歌デビューからじわじわ売れて行った高橋由美子などはいましたが、もはやアイドルは完全に地下のものとなり、学校で「東京パフォーマンスドール大好き!放課後はいつもパーティー!」と声高に言える空気は皆無でした。
パフォーマンスドールのデビューが90年。わたしの中学校入学が91年。
わたしの青春時代は、見事にアイドル冬の時代だったのです。
そんなアイドル冬の時代を終わらせたのがモー娘。でした。
略したときですら、正しく。をつけて、モー娘。と表記せざるを得ないほど、東京から金沢まで日帰りで後藤真希ソロライブを観に行くほど、名古屋でモー娘。浜松で松浦亜弥、と1泊3日の強行ツアーに出るほどわたしを狂わせたモー娘。、並びにハロプロは、それまでアイドルに見向きもしなかった世間一般の人たちをも魅了しました。
しかしそれは同時に、アイドル好きな奴はキモい奴ばっか!という衝撃的事実をも世間一般に知らしめることになってしまったのです。
かつてお茶の間のスターだったアイドルは、冬の時代を経てすっかり、地下の人たちのものになってしまったのです。モー娘。だって、最初はどちらかと言えば地下の人専用でした。ところがLOVEマシーンの大ヒットからのミニモニ。のお子様向けブレイクを経て世間様に急速に認められ、再び学校でパン買いに行かす側の人、さらにはイカしたカップルやファミリーまでもがコンサート会場に足を運ぶようになったのです。
元気はつらつとかわいく踊り歌うアイドルを楽しみに来たヤンキー、カップル、ファミリーが、コンサート会場前でまず目の当たりにするのは、普段お目にかからないレベルの「ヲタ」です。え、こ、こんなダメな感じの人、クラスにも会社にもどこにもいないよ、ほんといないよ、普段、どこで何してんの?これが噂の自宅警備員?というレベルの人たち(すなわち私)が、激しく我流のフリの練習をしたりコールの練習をしたり「やぐっちゃん命」とか書いてあるドピンクのハッピや特攻服着たり(しかし決して暴走族ではなかったり)必死の形相でグッズ販売に群れをなしている光景です。阿鼻叫喚。
被害はコンサート会場前にとどまりません。大型のコンサート施設の最寄り駅というのは得てしてスタイリッシュなターミナル駅が多く、故に駅前を行く人たちもどこか颯爽とスタイリッシュだったりするものです。その普段はハイソな雰囲気を醸す駅に、なんだかとてつもないナニカを醸し出した人たちが集結するのです。街行くハイソな人々は悪びれる様子もなくごく自然に声に出てしまうのです「なにこれキモッ!」
わたしもこの「なにこれキモッ!」を幾度となく浴びせられながらモー娘。最盛期を過ごしたものです。いや、浴びせられる側のわたしですら、新横浜駅に、さいたま新都心駅に、原宿駅に降りたつと同時に漏らしてしまうのです。「うわ、キンモっ!」
わたしはこれを「新横浜の惨劇」と名付けたのでした。
=続=
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9月分:完売しました。ありがとうございます。
10月分:残り本当にわずかです。
11,12月分:10月2日(日)12:00発売。公演日程は決まり次第当HPでお知らせします。
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